冷徹副社長と甘やかし同棲生活

 あの時食べたカルパッチョやピザは、すごくおいしかった。
 また、一緒に食べに行きたいな。

 椿さんが実家に戻ってしまったら、それもかなわなくなる。
 せっかく素敵なお店に連れてきてもらったのに、悲しくてうまく笑えなくなった。


「元気がないみたいだが、どうした?」

「いえ、何でもないです。少し緊張してしまって」

「どうってことはない。家のダイニングテーブルと思えばいい」

「それはさすがに無理がありますよ」

「そうか? いつも最高級の料理が出てくるぞ」


 椿さんのちょっとした冗談で、少し心が軽くなった。
 いつも私の料理をほめてくれて、本当に嬉しい。

 今まで、お店の手伝いで、たくさんの人のために腕を振るってきた。
 おいしいと感想をもらえた時は、すごく嬉しかった。
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