冷徹副社長と甘やかし同棲生活
 
 でも、椿さんにおいしいって褒めてもらうのは段違いに嬉しい。
 好きな人のために料理をすること自体が、幸せでたまらない。

 この人は、私にそういう幸せを教えてくれた。
 本当に、感謝してもしきれない。


「……椿さん、いつもおいしそうにご飯を食べてくれて、ありがとうございます」

「こちらこそ、いつもおいしい料理をありがとう」

 
 お礼を言い合っていると、テーブルに前菜が運ばれてきた。
 会話を楽しみながら食べていると、お皿が空になったタイミングでスープが運ばれてきた。
 
 どれも舌鼓を打つ美味しさで、雰囲気も最高。
 それなのに、店内に客は私たち二人だけだ。


「どうしてこんなに素敵な料理が出てくるのに、賑わってないのでしょう?」

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