冷徹副社長と甘やかし同棲生活

「……もしかして、気づいていないのか?」

「と、いうと?」

「今日は、俺が貸し切りにした」

「か、かしきり!?」

 
 驚いて、思わず声をあげてしまった。周りには誰もいないのに、とっさに口を押さえてしまう。


「どうして貸し切りにしたんですか?」

「もちろん、お前と最後の夜を過ごすためだ」


 今まで大切にしてきた幸せな生活が、音を立てて崩れていく。
 やっぱり、椿さんは、私に大事な話をしにきたんだ。

 今の会社を辞めて、実家に戻り、お父さんの会社を手伝うこと。
 お金持ちのお嬢様とお見合いすることになるから、別れを伝えにきたんだと。


 
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