冷徹副社長と甘やかし同棲生活
 
 口から間の抜けた声が出てしまうくらい、呆気に取られてしまった。
 最高の夜って……椿さんはいったい、ここに何をしにきたのだろう。
 
 頭に浮かんだ疑問を、そのままぶつけてみることにした。


「最高の夜って何ですか?」

「お前、そんなこと聞くなよ。空気が読めないヤツだな」

「だって、わからないですもん! 私はてっきり、実家に戻ってお見合いをするから別れようって言われるのかと……」

「はあ? 俺がお前を手放すわけないだろ。バカか?」


 椿さんは、明らかに苛立っていた。
 いやいや、怒るのはおかしいでしょう。と反論したかったけど、さりげなく嬉しいことを言われたので我慢した。

 
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