冷徹副社長と甘やかし同棲生活
突然、ヴァイオリンとピアノの軽やかな演奏が始まった。
 同時に女性スタッフの数人が、薔薇の花束と小さな箱をもってやってくる。

 椿さんは立ち上がると、スタッフから花束を受け取り、私の前に跪いた。


「――俺の妻として、そばにいてくれないか」


 頭が真っ白になった。
 こんなに嬉しいサプライズは、後にも先にも経験することはないだろう。

 最高にかっこいい王子様の申し出を、断るわけはない。
 
 
「はい……」


 驚きすぎて、頭が追いついていない。でも、心はちゃんとわかっているようで、無意識に頷いて花束を受け取っていた。


「ありがとう。一生幸せにすると、この指輪にかけて誓うよ」

 椿さんは、小さな箱を開けて、中身を私に見せた。
 中には、大粒のダイヤモンドが光り輝く、婚約指輪が入っていた。
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