冷徹副社長と甘やかし同棲生活

「ああ。今の会社に在籍したまま、親父の会社の執行役員になることにした。時々通って、会議に参加しようと思っている」

「そうだったんですね。お父さんは納得されていましたか?」

「本当は兄さんとともに会社を継いでほしかったようだが、断った。親父には親父の、俺には俺の夢があるからな」

「夢……?」

 椿さんは、まるで少年のように、白い歯を見せて笑った。


「ありきたりな夢だが、愛する妻と幸せな家庭を築くことだ。時にはしっかり者の母親で、ある時は世話のかかる妹のようで、でもいつでもときめきを与えてくれるお前のそばにいることが、俺の夢だ」

「嬉しい……。私も、椿さんと一生一緒にいたいです!」
< 314 / 321 >

この作品をシェア

pagetop