冷徹副社長と甘やかし同棲生活

「ありがとう。あと、事後報告になってしまったが、今朝、お前の実家に挨拶に行ったよ」

「えっ! 本当ですか? 父さんと母さんはなんて?」

「結婚を前提をした交際を申し込みたい、と伝えたら、おばちゃんは賛成してくれたよ。おじちゃんはムスっとしていたが“娘の判断に任せる”と言ってくれた。最近、商店街に活気が戻ったとお礼を言われたよ」


 まさか、椿さんがうちの実家に挨拶までしていたなんて。
 私のために、ひそかに行動してくれていたことに幸せを感じる。

 そして、父さんと母さんが認めてくれたことも嬉しい。母さん、ようやくホッとできただろうか。


「本当は、デザートのあとにプロポーズする予定だったのだが……おてんば姫のせいでむちゃくちゃだよ」

「おてんばって、言いすぎですよ」

「確かにな。……じゃあ、引き続きおいしい料理を食すとするか」

「はい!」



 ここのお店の料理は本当においしかった。
 椿さんと一緒だから、幸せで胸がいっぱいだから、余計にそう感じるのかもしれない。


 他愛もない話をして、笑い合って、ご飯を食べるだけでこんなにも幸せ。
――そしてこの幸せは、これからも永遠に続いていく。

 
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