冷徹副社長と甘やかし同棲生活


 男は私の手首を乱暴に掴み、引っ張るようにして店を出ようとした。

 ああ、やっぱり、嫌な予感が当たってしまった。
 悪い方向に話が進んでいる。

 あの時、私が出てこなければ、こんな話にはならなかったのだろうか。
 どちらにせよ、一人娘がいることを調べて、同じ選択を迫ったのかもしれない。


「お願いだから美緒を離して!」


 母さんは私をかばおうとするも、下っ端の男に羽交い絞めにされて身動きがとれない。

 どうしよう、このまま私、風俗で働くことになってしまうの……?
 せっかく就職して、これから頑張ろうってときに、すべて打ち砕かれてしまうの?


……そんなの嫌だ。お願い、誰か助けて。

 心の中でそう叫んだとき、ふと副社長の顔が思い浮かんだ。




「――今すぐ、彼女から手を離せ」




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