冷徹副社長と甘やかし同棲生活

やり取りと言っても、副社長が一方的に話をしていた。
 借金取りも、謎の男の登場にたじろいでいるようだった。


「アニキ、今回はいったんひきあげましょうや。この男、なんかやばい気がしますわ」


「ちっ。余計な邪魔が入って興も冷めたわ。また出直させてもらう」


 数分前までの勢いはどこへやら、男たちは逃げるようにして、店から出て行った。
    

 お店には、私と母さん、そして副社長の三人だけになった。


「隆弘くん、あんな奴らに名刺なんて渡して大丈夫なのかい? それに、借金を肩代りだなんて……」


「問題ありません。彼らの裏にいるのはこの一帯にショッピングモールを建てたい不動産業者です。我が社の名前を見れば、こちらにはうかつに手が出せないと考えるでしょう。借金の件も、弁護士に任せれば大丈夫です。万が一返済義務があったとしても、こちらにお任せください」

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