冷徹副社長と甘やかし同棲生活
「任せてって、無理に決まってるじゃないか! 隆弘くんに甘えるわけにはいかないよ」
「おばちゃん、ここは俺に任せてください。おじちゃんとおばちゃんには、返しきれないほどの恩がある。ずっと恩返ししたいと思っていたんだ」
「恩返しって……私たちは若い子にお腹いっぱい食べさせることしかしてないさね」
「俺にとっては、生きる希望をもらったと言ってもいいほどのことなんだ。だから、今回は俺に甘えてください。大切なお二人を、こんなことで悩ませたくないから」
……あれ、何かおかしい。
私ひとり、置いてけぼりだ。私ひとりだけ、この状況が全く分かっていない。
副社長が登場してから、頭の中身ははてなだらけだ。
でも一つだけ確かなのは――副社長が助けたかったのは私ではないということ。