冷徹副社長と甘やかし同棲生活
セレブな副社長に寂れた商店街なんて似合わないと思っていたから、学生時代からの常連ときいて妙に納得した。きっとこの近くの大学に通っていたのだろう。
私はずっとキッチンにいたから気づかなかったけど、副社長は私がこの店の娘だと知っていたのだろうか。恩人の娘だから、面接のときに優しくしてくれたのかもしれない。
普段は鬼なのにあのときだけ違った理由がようやくわかった気がする。
……副社長が大切に思っているのは父さんと母さんで、私にとって副社長はただの”恩人の娘”なのだ。そう考えると、なぜか胸がチクリと痛んだ。
「話を戻しますが、ここは俺に任せてもらえませんか」
「本当に甘えちゃっていいのかねぇ……。それに、他の店も苦しんでいるのに、うちだけ楽させてもらうっていうのもなんだかねぇ」