冷徹副社長と甘やかし同棲生活
副社長はそう言い残して店から去っていった。
借金取りの騒動なんて何も無かったかのように、とても爽やかな後ろ姿だった。
「隆弘くんはああ言っていたけど、肩代わりなんてさせられないよ。恩返ししたいっていうけど、たいしたことしてないしねぇ」
母さんはいまひとつ割りきれなさそうな表情で、倒れた椅子を戻していた。
「副社長は”生きる希望をもらった”っていってたけど、具体的に何をしてあげたの?」
「なにって、さっきも言ったけど、ご飯を食べさせただけだよ。お金がなさそうで困っていたから、たまにご馳走したり、余りもん弁当にして持たせてあげたりしたねぇ」
「そうなんだ」