冷徹副社長と甘やかし同棲生活

 あの副社長が学生時代にお金に困っていたとは意外だ。
 お金に苦労したからこそ、お金を稼ぐことに人一倍シビアなのかもしれない。


「たしかに助けてあげたかもしれないけどさ、あれに一千万の価値なんてないと思うね。その上、商店街全体の面倒見てくれるようだし……隆弘くんにお金返すだけじゃなくて、なにかお礼しないといけないくらいだよ」

「お礼……」


 母さんの言葉にはっとした。

 びっくりすることばかりで頭が追いついていない。でも、ひとつだけはっきりしていることがある。それは、副社長にとって私はただのおまけだということ。

 副社長の優しさにただ甘えるなんてできないということだ。

 
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