冷徹副社長と甘やかし同棲生活
どうして緊張しているのか、自分でもよくわからなかった。
ただお礼がしたいと伝えるだけなのに、どうしてできないのだろう。
副社長のカリスマ的オーラに圧倒されているのかもしれないけれど、そのまま伝えるのは恥ずかしい。
でも今ここで、答えを口に出さないと……。
――焦った私の頭に浮かんできたのは、今朝の母さんとの会話だった。
「副社長は私にとって、アイドルのような存在だからです!!」
言い終わったあとでふと我に返った。
もしかして、私、窮地に立たされてとんでもないことを言ってしまった? しかも、周囲に聞こえてしまうほどの大声で。