冷徹副社長と甘やかし同棲生活

 副社長は、一番奥に停めてあったセダンの右側に回って扉を開けた。


「助手席はこっちだ」

「ありがとうございます」

「荷物を貸せ。後ろに乗せるから」


 副社長にエスコートされるまま、旅行バッグを渡して、右側の助手席に腰を下ろした。

 座った後で、この車が外国製だということに気づく。そういえば、車体に有名なエンブレムがついていたような気がする。


 どうしよう、こんな高級車に乗るのは生まれて初めてだ。下手に動いて傷をつけてはいけないと思い、ショルダーバッグを両手で抱え、できるだけ動かないように全身を力をいれた。


「……お前、硬くなりすぎだ」

「えっ?」
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