冷徹副社長と甘やかし同棲生活
 
「自分がシートベルトをつけていないことにも気づいてないだろう」

「あっ、本当だ……」


 副社長はすでにシートベルトをつけ終えていた。バッグを膝の上に置いて、急いでシートベルトを装着する。


「失念してました、申し訳ありません!」


 どこにもぶつからないように気をつけながら頭を下げると、さっきよりも深いため息が聞こえた。


「柏木、お前な……」


 そして、再びあきれた顔の社長と目が合う。



「あの、私なにか間違ってます?」


「間違っているわけじゃないが、そこまで畏まる必要もないだろう」
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