冷徹副社長と甘やかし同棲生活
「煙草、吸うんですね」
「ああ、一日に数本程度な。お前は吸うのか?」
「私は吸ったことないです」
「では柏木の前では吸わないように気をつけないとな。吸わない人にとって、あの煙は苦痛だろう」
「ありがとうございます」
副社長は、根は優しい人なのだろうと感じた。今の発言もそうだけど、私が気まずくならないように、常に話題を振ってくれる。
車の運転も、すごく丁寧で、周りのドライバーさんのことも気遣っている。
母さんの言う通りだ。噂を鵜呑みにしてはいけない。
会社での彼の厳しい言動には、きっと意味があるにちがいない。
副社長の優しい面を見るたびに、ドキドキして胸が苦しくなる。
車に乗るときの緊張とはまた違う、不思議な感じがする。