いつまでも弟だと思うなよ。
「チカちゃん」
「んだよ、まず俺の質問に───」
「──離しなさい」
「…ッ」
私がそう発した途端、チカちゃんの顔が歪んだ。
「チカ、手を離して」
「…っ、ずりぃだろ。こういう時だけハッキリ線引くとか…」
そっとチカの手が私の腕を離れていく。
昔から、私のこの態度にチカが勝てた試しはなかった。
どこかで察知本能が高い私。
自分でもよく分からないけど、昔からチカちゃんがダメなことをしようとするのはすぐに分かった。
普段なら可愛いチカちゃんに甘々な私でも、そういう時だけはハッキリやめさせる。
多分、私の家がそういう事に関してしっかりしてるところだから。
普通の家だけど、礼儀とか、ダメなことはダメだとか、そういうことだけは小さい頃から厳しく言われてきたからだと思う。