いつまでも弟だと思うなよ。
今年で30周年を迎える私達の高校は、代々文化祭には気合を入れる風習。
行事毎に活動をする1,2,3年の3学年合同主催の実行委員もあり、私と真田くんはその実行委員に入っている。
ちなみに、去年の委員長は真田くんで、副委員長が私。
実行委員は毎年2年生が主力となって動くため、3年生となった私達はこれまでやってきた行事活動内容を後輩に引き継がなければならないんだ。
「本当は夏休み明けでも間に合うけど、30回目の文化祭だし規模もデカイからな」
「そうだね!今から引き継ぎ内容まとめとかないと」
「また頑張ろうな」
「うん!」
いつの間にか普通に会話ができてる自分に驚いたと同時に、真田くんとはこういう関係の方が居心地が良い気がした。
…本人には言えないけど。
「んじゃ、今日はとりあえずそれだけだから。引き継ぎに関してはまた連絡する」
「うん、了解です」
頷く私に真田くんがクスッと笑う。
何だろうと思うよりも先に、彼の手が私の頭をポンと撫でた。
「普通に話してくれるのもありがたいけど、俺がお前のこと好きなのも忘れんなよ?」
「なっ……!!」
不意な台詞に目を見開いた私を、また真田くんは笑った。
「じゃーな、宮野」
そして、そのまま自分の教室へと戻っていった。