その件は結婚してからでもいいでしょうか
えろえろ。
エロエロ。
悠馬。
「さいってーっ!」
美穂子の感情が爆発した。
「サイテー! サイテー! サイテー!」
涙がポロポロ溢れてくる。
あの漫画の世界観を、目の前の男が造って、そんでもって壊した。
わたしの宝物なのにっ!
美穂子の大粒の涙を見た、自称(いや、いいやもう)桜よりこ先生が、とたんに真っ青になる。
アワアワしながら、美穂子の元に飛んできた。
「なっ、泣くなよー、こんなことで」
床に落ちてるTシャツを拾って、美穂子の涙を拭こうとした。
何考えてんだ、このやろ。
バシッン。
美穂子は勢いよくその手を弾いた。
「落ちてる着古しTシャツで、女性の顔を拭くなんてこと、ありえないーっ」
「ああ、ごめんごめん」
先生は立ち上がると、デスクから箱がインクで汚れたティッシュを持ってきて、美穂子の前に差し出した。
美穂子は先生を睨みつけながら、ティッシュを二枚抜き取った。メガネを持ち上げ、次々込み上げてくる涙をぬぐう。
先生は困ったように、美穂子の目の前で、床にぺたんと座り込んだ。
部屋には美穂子の鼻をすする音だけがしばらく響く。
しばらくすると、美穂子の気持ちもだんだん落ち着いてきた。
あれ、わたし、やりたい放題してるけど……。
それから冷や汗をかき始める。
どうやら目の前にいるのは、ホンモノの桜よりこ先生。
憧れの先生を罵倒して、大泣きした。
やばい。
アシスタント、クビになる。