その件は結婚してからでもいいでしょうか

ズキ、ズキ、ズキ。

あまりの痛みに、目が覚めた。

「うーん? あれ? 部屋だ、ココ」
布団の中から、気だるい体を起こす。

「めがね、めがね」
美穂子は、枕元のメガネを取るとかけた。

「いだっ」
美穂子は顔をしかめる。

頭が割れるように痛い。これはもう殺人級の痛み。

「飲みすぎたあ」
美穂子は再びまくらに頭をそっと乗せた。それから気がつく。

あれ? このシャツ、先生のシャツじゃない?

「え!」
美穂子は飛び起きたが、「あいたた」とすぐに頭をかかえる。

それからさーっと血の気が引いた。

わたし、ズボン、履いてない。
ああでも、この感じ、パンツは履いてる。

何が起きた? どういうこと?

美穂子は大パニックに陥った。あわててキョロキョロ周りを見回すと、すぐそばに一枚の紙が落ちていた。

痛い頭をかばいながら、腕を伸ばしてそれ取る。

そこには、コメディタッチで描かれた、美穂子が寝ている。シャツがはだけ、おへそが丸見え。パンツはいちご柄。よだれを垂らして、いびきをかいている。ご丁寧に、桜先生のサイン入り。

「しまったーっ」

美穂子は叫んだ。

どうやら、とりかえしのつかない、ひどい失態をおかしたらしい。
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