冷徹部長の愛情表現は甘すぎなんです！
「ふうん。俺のことを勝手に観察するなよ」

「か、観察って……。たまたま、気づいただけです！」

こっちは心配しているのに、そういう茶化した態度はないんじゃないですか!?　彼がそういう男だというのはいつものことだけれど、こういうときは真面目に答えてほしい。
ムカムカして、カフェでの態度を嫌味を込めて指摘したくなった。

「……夏穂子の前ではびっくりするくらい別人でしたね。にこにこしていたし。猫かぶりですか？」

「君もああいうふうに作り笑いで接してほしい？」

そう言われると、うなずくことはできない。態度が違うことを不満に思ったけれど、由佐さんの作り笑いが見たいわけではない。
言葉に戸惑っている間にエレベーターが着き、気だるそうな由佐さんの後ろを歩いてデスクへ戻ると、彼はすぐにまたオフィスを出ていった。

もう、知らない！と、わたしは自分の仕事に取りかかったけれど、『大丈夫ですか？』と尋ねたわたしを茶化した由佐さんのことがどうしてもひっかかっていた。


勤務時間が終わって、残っていた社員たちも次々と帰っていくのを見たあと、ふう、と息をついてデスクから立ち上がったわたしは、給湯室にお茶を入れにいった。
仕事はすでに終わっているけれど、確か由佐さんは直帰しないはずだから、彼が戻ってくるのを待っていた。
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