冷徹部長の愛情表現は甘すぎなんです!
「俺のこと“最低”って言うくせに、本当にお節介だな」

「この前も最低を強調していましたけど、もしかしてわたしに最低って言われたこと、気にしているんですか?」

「……あのなぁ」

顔を上げた由佐さんがわたしの顔へ腕を伸ばし、頬をすっと人差し指で撫でた。そしてもう片方の手をソファの背もたれについて、顔を近づけてきたからドキッとしたけど……そこまでだった。

「あー……くそダメだ、だるい……」

由佐さんはガクッと脱力し、先ほどと同じ体勢に戻っていく。相当疲れているようで、力が入らないみたい。そんな彼に笑うと不機嫌そうにこちらを見てきたが、彼は再びわたしに寄りかかった。

「君みたいな女、はじめてだ」

わたしだって、由佐さんみたいな男性とは出会ったことがない。第一印象が素敵だって思ったのに、再会したら最悪で、だけど一緒に働いているうちにまた惹かれている。

「手を出した女が職場にいたら面倒だって最初は思ったけど……君の場合はなんだか……」

「……課長?」

喋っていた由佐さんの声が小さくなっていったので、そっと彼の顔を覗くように見てみると、目を閉じて寝ているようだった。言葉の続きは、なんだったのかな……。
寝不足だって言っていたけど、まさかこのままの状態で眠ってしまうなんて。
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