霞村四丁目の郵便屋さん
「瑛太くん、おはよ」


すぐに俺に気づいたみやびが声をかけてくれたので、慌てて「おはよ」と返し、隣に並んだ。


「ギリギリだよ」

「あ、うん。でもセーフ」


遥のようなことを言うなと思いつつそう返すと、彼女はクスッと笑う。

それからすぐにバスはやって来た。

定期をかざして乗り込み、一番うしろの広い席に座る。
ふたり用の席にみやびとくっついて座るのはなんとなく気まずいからだ。

遥と一緒のときもそうだった。


「朝もこんなに空いてるの?」


教科書が詰まったカバンを空いている席に下ろしたみやびは、そう尋ねてくる。


「少しずつ増えるよ。でも満員にはならないかも」


朝は通勤する人も多く、次のバス停では数人の同じ顔ぶれが乗り込む。
隣町に行くにつれ乗客は増えるけれど、全員が席に座れるくらいで、押し込まれてやっと乗れるという都会の電車やバスとはわけが違う。


「そっか」


みやびは短い返事をしたあと、カバンの中からプリントを取り出した。
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