霞村四丁目の郵便屋さん
「ホントだ。埋まってきた」


昨日はもう一本前の始発のバスに乗り、この時間は初めてという彼女が、なんだかうれしそうでおかしい。
あんまりがらがらでは、とっくに廃線になっている。

でも、くっついて座ったことで、バスの揺れに合わせて時折彼女に触れてしまい、妙な緊張が俺を襲う。
こんなこと、遥と何度もあったのに。

もともと口下手な俺は、結局彼女の謎を暴けないまま学校についてしまった。


「お、来た」


教室に足を踏み入れると、純一が俺を待ち構えていた。


「おはよ」

「やっぱ、一緒だ」


純一はすぐあとからやってきたみやびに視線を移して、ニヤニヤ笑う。


「朝も一時間に一本しかバスがないんだ。当然だろ」

「はいはい。そういうことにしておくよ」


『そういうこと』もなにも、それが事実だ。


「で、宿題プリーズ」

「は?」


そんなことだろうと思った。
純一が俺を待っているなんて、それくらいの理由しかない。


「どっちの?」


今日は数学と社会の宿題が出ていたはずだ。
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