霞村四丁目の郵便屋さん
その日の放課後。社会の宿題を終われなかった純一が居残りになるのを尻目に、教室を出た。
みやびは他の女子と一緒に駅に向かっている。

目の前を歩く女子の集団から甲高い笑い声が聞こえてくるけれど、みやびはうなずいて相槌を打っているだけ。
まだ学校のことを隅々まで知らない彼女には、加われない会話もあるのだろう。


「それじゃあ、また明日」


駅で電車組の他の女子と別れたみやびは、すぐに俺の存在に気がつき、少しだけ口角を上げる。


「今日はもう一本前に乗れるね」

「そうだな」


十五時四十分出発のバスには、まだ二十分ほどある。

俺たちがここでバスを待つ間に、家についてしまうヤツもいるという理不尽さに負けそうになりながら、霞村にいられたのはやっぱり遥のおかげだ。

いつも一緒にバスを待っていた遥の――。
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