霞村四丁目の郵便屋さん
彼女との距離は約五十メートル。
なにもない田舎道では隠れるところすらなく、もしみやびが振り返ったら俺が見ていることがバレてしまう。

どうしようかと考えているうちに、彼女が少しずつ遠ざかり……昨日消えた森の辺りにたどり着いた。

息を呑み、じっと目を凝らして見ていると、とうとうみやびが振り返り俺に気がついてしまった。


「瑛太くん」


彼女の声はこんなに高かっただろうか。
森の木々に当たりながら俺の耳に届いた。


「あっ、あの……」


とっさに言い訳をしようと口を開いたものの、なんと言ったらいいのかわからない。
それどころか、彼女と距離がありすぎて、俺の小さな声はおそらく届いていない。

一旦は目を逸らしたものの再び彼女を見つめると、彼女は微笑んだ、気がした。

視力は悪くないほうだ。
でも、ここからでは表情まではっきりとは見えない。

でも、微笑んだ気がするのだ。


「大池、見たい?」

「えっ……」
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