霞村四丁目の郵便屋さん
「ここだよ。入って」


突然目の前に現れた家は、いわゆるログハウス風。
建てられてからの年月を思わせるように、壁にはツタが絡んでいる。

周りの景色に溶け込んでいるその家は、この森の主が住んでいるのではないかと思わせた。


「あ、うん」


俺はさっきからこの返事ばかりだ。


「おじゃまします」


みやびが玄関のドアを開け入っていくのに続くと、中は少し薄暗い。
それに、俺が想像していたような普通の家ではなかった。

入ってすぐに小さなカウンターのようなものがあり、その向こう側には大きなデスクがひとつだけある。


「あっ、ごめん。私の住んでいるところはこの奥なの」


彼女はカウンターの中に入り、俺を手招きする。


「みやび、ここは?」

「ここはお父さんとお母さんの仕事場よ」

「仕事?」


といっても誰もいないじゃないか。


「うん。今は配達に出てるの」

「配達?」


わからないことだらけだけれど、みやびが「こっち」と俺を促すので、首を傾げながらついていった。
< 50 / 56 >

この作品をシェア

pagetop