霞村四丁目の郵便屋さん
みやびはジュースのパックを持ってきて、自分のコップに追加した。


「クッキーもどうぞ。これもマルヨネのだけどね」


勧められたのは、たしかにマルヨネで買ったことがあるクッキーだ。


「ありがとう」


マルヨネ効果は絶大だった。
すっかり安心した俺はクッキーを口に放り込んだ。


「うん、うまい」


いつもの味だ。


「あはは。やっと安心した?」


そう言うみやびは、自分もクッキーをつまみながらうれしそうな顔をする。


「……まぁ」


俺があいまいに返事をすれば、彼女は「そうよね」とうなずいている。
ということは……彼女も自分が普通ではないことをしていると自覚があるのだろうか。


「みやび、あのさ……」


口を開いたのはいいけれど、いったいなにから聞いていいのかわからない。

あの池は、母さんが言っていた伝説の池なんだろうか。
みやびは周りに家など一軒もないここに、どうして引っ越してきたんだろう。
両親が配達をしていると言っていたけれど、いったいなにをどこに配達しているんだろう。


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