君が残してくれたもの
とっさに距離を置いた私の腕をぐっと掴んだのは樹里。


「私も一瞬、気にしちゃったけど。気にしなくていいんだよ。なずなは私の友達でしょ?私の友達の久保川だって、なずなの友達みたいなもんだよ」


でも…

樹里の言葉に納得しない私の顔を見て、樹里は少し強くでも丁寧な口調で言った。


「誰かの許しが必要なの?いらないでしょ」


それもそうなのだ。

誰の許しが必要だというのだろう。

誰が決めたルールなのだろう。


樹里の言葉に、


「うん…」

頷いた。


樹里が手を繋いで、私をもとの位置に戻す。


戻ってきた私に、

「花のこと詳しいの?」

桜樹が尋ねる。


「そんなに詳しくはないけど。あっちゃんに今色々教えてもらってる。クリスマス頃にもまたバイトするから」


声がうまく出なくて、小さな声で喋る私に、


「クリスマスか…」


桜樹は少し寂しげな顔でそうつぶやいて、


「じゃあ、また教えて?花のこと」


にっこり笑った。


花が好きなのかな。

いや、確かにバラの花束とか似合うけどね?

なんなら誕生日に跪いてバラの花束とかもらってみたいけどね?


「なずなちゃん?」


海晴くんが私の顔を覗き込んだので、妄想が過ぎた私のだらけた顔を慌てて元に戻し、

「あ、ううん」


つい妄想で突っ走っちゃった自分に心の中でビンタをくらわした。
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