君が残してくれたもの
その日の放課後、私はいつも通りバイトに出ていた。

「なずな、部活もうしないの?」

あっちゃんが、注文の入った母の日用のブーケを作りながら話しかけてくる。


「うん」

私はラッピング用の包装紙をちょうどいい大きさに切っていた。


「でも、バスケあんなにはまってたじゃない」

そう、中学の頃はバスケ部に入って、毎日練習に明け暮れていた。

楽しいというより、心の隙間を埋めるように部活に打ち込んだ、というのが正解。

だけど、中学3年で部活が終わってから高校に入るまでの間に、心境の変化があった。


あっちゃんは仕事中きつくパーマがかかった髪の毛を後ろで一つに束ねている。

ふだんは見えない耳にはピアスが5個開いている。

そんなあっちゃんに、語りかける。


「バスケしてもね…バスケットボール選手になるわけじゃないし」


「冷めてるねぇ」

クスクスとあっちゃんは笑った。


「あれ?イケメン。いつ来たの?いらっしゃい」


あっちゃんの視線の先には、桜樹がいた。


「こんにちは」

そう言って、ふわっと笑うその顔が本当に桜の花のように綺麗なのだ。
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