君が残してくれたもの
「楽しいこと、する!」

子どもみたいに泣いてる私を、桜樹は優しく見ていた。


こんなに泣いたのは、久しぶりで…


桜樹と別れて、家に帰って鏡を見た時の衝撃ったら。


「なんなの、このブサイクな顔は!」

大声で自分を罵倒する完全に変人と化してしまった私。

ああ、余計に涙が出てきそう。


私はこの度、自分の泣き顔のブサイクさを学習しました。
お母さん、なずなはまたひとつ大人になりました。



氷で目を冷やしながら、眠ってしまった私を母が起こすまで…

私は夢を見ていた。

枝垂桜が風に揺れて、花びらが舞う中…

桜樹の後ろ姿を追っていた。

追いつけないまま、目を覚ました。


「夢…?」

家の天井が見えて、私は夢だったことに気づいた。

「寝ぼけてる?」

覗き込んだ母と目が合った。


私の顔を見るなり、


「なずな?今日はピザでも取ろうか」

母は泣いた理由に触れることなくいつも通り、少しだけ私を甘やかしてくれた。
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