イジワル御曹司の執着愛~愛されすぎて逃げられません!~
引きこもっている間、体力は完全に落ちていた。
あたりを二十分も歩けば軽く息が上がる。
(膝が重い……はぁ……胸が苦しい……いつの間にかすっごい疲れやすくなってるし……これは駄目だ。毎日外にでるようにしよう……)
ウニはお年寄りなので、散歩はあんがい短く、自分のこの状況に気が付かなかった。
マンションから百メートルほど離れたところに、桜の木々がずらっと立ち並ぶ水路があった。
都会の中心にかなり近いのだが、周囲には豊かな自然の景色が広がる。
歩く先に移動販売のデリが見えた。
(今日の夜ご飯の一品にでもしようかな?)
なんとなくフラッと停車している車のほうへと向かうと、背の高い外国人の女性がケースの前で、身振り手振りで店員に詰め寄っているのが見えた。
(どうしたのかな……?)
「あー、私、英語はぜんぜんわからないのよー」
店員は六十代くらいだろうか。さっぱりしたショートカットを三角巾でまとめている。
ひどく困った様子だ。
「あ、あの」
余計なお世話かと思ったが、遠子は思い切って声をかける。