イジワル御曹司の執着愛~愛されすぎて逃げられません!~
「この人、肉はなにを使っているのかって言っていますよ。ムスリムだから豚肉が食べられないんですって」
「あーっ、そうなんだね!」
店員はホッとしたように笑顔になる。
「これはチキン、こっちが豚で、こっちが牛。これはあいびきのミンチで豚が入ってるよ」
それを聞いて、遠子はそのまま外国人に説明する。
納得したのか、チキンを使ったサラダと煮込みを買って、機嫌よくその場を立ち去った。
「いやー、本当に助かったよ、ありがとう。それにしても英語ぺらっぺらだね! すごいねえ、外国に住んでたの?」
「いえ、以前、仕事で使うことが多くて。もうやめちゃったんですけど」
外資系だったので、当然上司や同僚に外国人が多かった。それだけだ。
聞かれてもないのに辞めたなど言ってしまった遠子は、えへへと照れながら笑うと、「近所の人?」と聞かれた。
「はい。歩いて十分もかからないところに住んでいます。天気がいいのでお散歩中です」
「そうなの~……」
女性はうなずきながら、じっと遠子を見つめる。
「なにか?」
首をかしげる遠子に、彼女は思い立ったように身を乗り出してきた。
「ねえ、あなたうちで働かない? 一日数時間でいいからさ!」
「――えっ!」