イジワル御曹司の執着愛~愛されすぎて逃げられません!~
それから数日後――。
午前中に、部屋の掃除を終えてお茶を飲んでいると、直倫からスマホに電話があった。
数日前にバッグを替えたのに、中身を入れ忘れていたものがあったらしい。
ウォークインクローゼットの中に、直倫の言っていたバッグがあった。
「うん、わかった。バッグごと持っていく?」
中身を見ていいかわからないので問いかけると、
《いや、中にうちの社名が入った封筒が入ってるから、それだけ持ってきてくれるか》
と、言われる。
「わかった。じゃあ今から行くね」
《助かる。ついたら電話してくれ》
「じゃあまたあとで」
通話を終えて時計を見ると、十一時をまわったところだった。
今からなら昼休みには届けられるだろう。
遠子は部屋着からちゃんとした服に着替えて身支度を整えると、マンションを出てカノーロ本社へと向かった。
渋谷にある本社のエントランスには、商談用のソファーセットがいくつも置いてある。
開放的で広々とした空間は、流行の先端を走るカノーロらしいセンスで靴やマネキンが飾られており、ショーウインドウの中に迷い込んだようだ。
(相変わらずおしゃれ空間だな……って、直倫についたって電話しなきゃ)