イジワル御曹司の執着愛~愛されすぎて逃げられません!~
ある意味結婚したくないという宣言のようなものではないか。
見た目は王子様系だが、案外ドライなところもあるのだ。
白臣の口から出た、他人という言葉に少しだけドキッとした遠子は、背の高い白臣をじっと見上げた。
「だって、そうは言っても、なかなか難しいよ。いつも一緒にいるなんて。リラックスしていられると思う?」
「まぁ、そうかもしれないけど……」
そう言われれば、そんな気もしてくるが――。
「その点は、ナオが羨ましいな」
「どうして?」
「遠子なら俺だって一緒に住めるよ」
「でた~シロちゃんのイタリア仕込み~」
だが自分の場合は、幼馴染で家族同然というそれだけだ。
遠子はフフッと笑って、白臣の他愛もない冗談を受け流した。
「トーコ」
「あ、直倫」
声のしたほうを振り返ると、エレベーターから降りた直倫が、まっすぐにこちらに向かってくるのが見えた。
そしてちょうど、昼休みになったのだろう。
エントランスに人が増え始め、あっという間にワイワイとにぎやかになった。