イジワル御曹司の執着愛~愛されすぎて逃げられません!~
「電話しろって言っただろ」
直倫は差し出された封筒を「ありがとう」と受け取りつつも、どこか不機嫌そうだ。
「悪かったね。俺がちょうど声をかけたんだ」
遠子が口を開く前に、白臣が先に謝ってくれた。
「あっそ」
だがそんな謝罪も直倫は右から左だ。
サラッと流してしまった。
(相変わらずシロちゃんにそっけないな……まぁ、男兄弟なんてそんなものと言われたら、そうかもしれないけど)
遠子はふたりの顔を見比べながら、そんなことを思ったが、いくら昼休みとはいえふたりをずっとここに立たしておくわけにもいかないと言うことに気が付いた。
なぜならすごく、目立つからだ。
このカノーロの社員で、槇兄弟を知らない人間など、ひとりもいない。
確かに直倫はかなり久しぶりの帰国ではあるが、カノーロの子どもたちは全員修行に出るという社の伝統を知っているので、兄弟がそろったことにより、新しい風を感じている社員もいるのだろう。
(めっちゃひそひそされてるけど……とくに女子! ふたりともまったく気にしてないな。まぁ、昔からそうだけど……)
いちいち他人の目を気にしていては、何もできないとわかっているのかもしれない。
注目も割り切っているのだろう。