イジワル御曹司の執着愛~愛されすぎて逃げられません!~
ランチは会社近くの洋食屋に入った。入り口から一番近いカウンター席が空いていたので、ふたりでそこに座る。はやっている店のようで、ランチの提供も早かった。
(カノーロの社員もいるっぽい……)
カウンター席に座っていると、背後から、チラチラと視線を感じる。
あまり気にしないようにしようと思いつつ、遠子は日替わりのハンバーグを切り分け、せっせと口に運んだ。
「そんながっついて。腹減ってたんだろ」
からかうような直倫に、遠子の頬が染まる。
相変わらずのマイペースだ。
こうなると自分ばかり気にしているのが馬鹿らしくなってくる。
「もうっ、そういう意地悪をいうヤツはこうだっ!」
自分の皿に乗っていたニンジンのソテーを直倫の皿へと移してやった。
「お前、まだにんじん食えないの?」
「だって、野菜のくせに甘いんだもん」
「トマトもかぼちゃも好きなくせに」
直倫は遠子に乗せられたニンジンを、呆れながらもそのままぱくりと口に運ぶ。
「直倫だってこんにゃく嫌いでしょ」
「こんにゃくか……あいつはな、収穫できるまで三年、毒を含み、手間暇かけて食べられるようにしたところで、栄養素は食物繊維以外にほぼなにもないんだぞ。だから無理して食べなくてもいい」
「めっちゃ詳しい……こんにゃく博士か」