イジワル御曹司の執着愛~愛されすぎて逃げられません!~
遠子はフフッと笑って、隣の直倫を見上げる。
「――そういえば、こうやってふたりで外で食べるのって初めてじゃない?」
家族ぐるみで食事はあるが、ふたりきりというのはないはずだ。
「いや、二回目だ」
「二回目? えっと……いつだろう」
「お前が大学を出る直前」
「――ああ」
直倫の言葉に、遠子は急に思い出した。
「あれも外食に入るの?」
「入るだろ」
一時帰国してから数日、直倫は槇家に滞在していた。
当然遠子は直倫とあまり顔を合わせないように帰りを遅くしていたのだが、酔っぱらって帰宅すると、直倫ひとりしかいなかった。
「おなかが空いて帰ったのに、家の冷蔵庫が珍しく空っぽで、それでコンビニに着いてきてくれたんだっけ」
「アメリカンドッグを公園で食べた」
「当時、私の中で流行ってたんだよね……」
遠子は懐かしくなりながら、きれいな所作でパンをちぎって口に運ぶ直倫を見つめた。