イジワル御曹司の執着愛~愛されすぎて逃げられません!~
「――え? 槇って……」
「直倫さんですっ……私、ずっとファンで、お近づきになりたいって思ってて、だけど部署が違うからなかなか声かけられなくてっ……」
どうやら彼女はカノーロの社員らしい。
さすが直倫、こういうのは久しぶりだなと思いながら、彼女を見つめていると――。
「あなた、ただのお友達ですよねっ?」
いきなり爆弾を投げてよこされた。
「――え、あの……えっと……」
“ただのお友達”と断言されて遠子は言葉を失ったが、ここで自分が違うというのには抵抗がある。
(直倫と一緒に住んでるなんて言ったら、社内で直倫に変な噂がたってしまうかも……)
遠子と直倫の関係は、いくら双方の家族が承知とはいえ、社内では知られていないはずだ。
ここでうかつなことを口走れば、直倫の立場がおかしなものになってしまうかもしれない。
(それは嫌だな……直倫に迷惑をかけたくない)
遠子は「あはは……」と笑いながら、食い入るように見つめてくる彼女を見下ろした。
「ただの――幼馴染で……友人の一人です」
(間違っては、ないよね……)