イジワル御曹司の執着愛~愛されすぎて逃げられません!~
くるっときびすを返した遠子に、笑顔の和美が言い放つ。
「遠子、直倫くんと結婚するんだよ」
トーこ、ナおみチ君と血痕スルんだヨ
(今、なんて?)
和美の言葉が、なにひとつ意味のある単語として聞き取れなかった遠子は、立ち止まって首だけ振り返る。
ギギギ……と音がしそうだった。
「ん、だからね」
和美はカップをテーブルの上に置き、まず遠子を指さした。
「遠子とー」
次にその指を直倫に向ける。
「槇さんちの次男坊、直倫君」
そして今度は両手でハートマークを作りニッコリと微笑んだ。
「ふたりは結婚しま~す」
「なああああ~っ!?」
親から受け継いだ町の小さな美容院を、たった三十年かそこらで全国に支店を持つ一大グループまで大きくしたのは和美だ。
先を見る才能があるはずだが、なぜ最愛の娘をよりにもよって、娘が嫌う槇直倫と結婚させようというのか。まったく理解できない。
「冗談でしょ!」