イジワル御曹司の執着愛~愛されすぎて逃げられません!~
「はー? 冗談で娘を結婚させるなんて言うわけないでしょ、失礼な。亜子ちゃんとも、槇さんちのご両親ともよーく話し合って決めたよ!」
和美が憤慨したように唇を尖らせる。
亜子ちゃんというのは遠子の母のことだ。
そして実の父に「失礼な」と言われてしまった遠子は開いた口がふさがらない。
「いやいやだって……はぁ?」
そもそもよーく話し合うべきなのは双方の両親ではなく自分では?
直倫だって自分と結婚なんて嫌に決まっている。
そう思うのだが頭が真っ白になって、言葉が出てこない。
ただ茫然と父と、黙って紅茶を飲んでいる直倫を見比べる。
(てか、なんでこいつも黙って紅茶なんか飲んでるの……? 自分がブスだって思ってる女と結婚させられてもいいわけ!?)
もしかしてこれはいつまでも立ち直れない自分をからかっているのだろうか。
「もうっ、冗談はやめてっ!」
遠子は吐き出すようにそれだけ叫ぶと、逃げるようにそのまま荷物を置いて階段を駆け上がっていた。
ワンッ!と吠えてウニもそのあとを追いかける。