イジワル御曹司の執着愛~愛されすぎて逃げられません!~
このままどこかに逃げてしまいたい。
自分の部屋でいい。
固くドアを閉めて、鍵をかけて、みんなに忘れてもらいたい。
本気でそう思った。
「ぐすっ……」
その瞬間、眠っていたはずの直倫が、パッと目を開けた。
「トーコ?」
驚いたのは遠子だ。
「ご、ごめん、起こして……」
慌てて手の甲で涙をぬぐうと、直倫は体を起こして、手を差し出した。
「こっち来いよ」
「えっ……」
「お前の居場所はここだろ?」
ためらう遠子の手をつかみ、引き寄せる。
「ひゃっ……!」
あっという間にたくましい腕の中に閉じ込められ、体がベッドの上に横たえられた。
だがさっきまでと違うのは、後ろから寄り添うように眠るのではなく、向かいあってということだ。
「――お前、ほんと泣き虫だよな」
直倫の腕が遠子の体をグッと引き寄せる。
(泣き虫って……私はいつもあんたに泣かされてるんですけど……って、今回はまた違う意味だけど……)