イジワル御曹司の執着愛~愛されすぎて逃げられません!~
夢を見ていた。
子供の頃の夢だ。
懐かしい槇家の応接間で、兄弟と自分がいる。
小学校高学年の白臣はヴァイオリン。
低学年の遠子と直倫は、ピアノの連弾。
そこに大人の姿はないから、きっと家族ぐるみで行われる、クリスマスパーティーの出し物の練習だろう。
ピアノの音が楽しそうに弾ける。
ぶつかって、響いて、ハーモニーになる。
直倫はなにをやらせてもすぐうまくなるから、一緒に弾いていると自分までうまくなったような気がして。
ピアノの練習は嫌だったが、直倫との連弾は楽しかった。
「……コ、トーコ」
「ん?」
名前を呼ばれていることに気が付いて顔をあげると、隣に座っている直倫の、横顔が目に入る。
伏せた長いまつ毛の影が直倫の頬にチラチラと映って、とてもきれいだ。
(まつげ、ながい……)
ぼーっと見とれてしまい、するともう、名前を呼ばれたことも忘れている。