イジワル御曹司の執着愛~愛されすぎて逃げられません!~
――――・・・
そして、それから数日後の、ある冬の日の午後のこと。
「遠子、手が止まったよ」
ヴァイオリンを肩にのせたまま、白臣が遠子に声をかける。
だがその瞬間、遠子は足をぶらぶらさせながら、応接間から庭の外を見つめ、そしてキラキラした笑顔で、叫んでいた。
「おそと雪がふってきた! シロちゃん、ナオちゃん、見て!」
完全に、遠子の意識は窓の外にとんでいた。
「あ、ほんとうだね」
遠子の言葉に、白臣も窓の外に目を向けた。
だが一方、直倫は知らん顔で、ピアノの鍵盤をたたいている。
今日の直倫は機嫌が悪かった。
練習をしに槇家に来た時からそうだったので、きっと兄弟喧嘩でもしたのだろう。
ただ槇兄弟の場合、兄の白臣が圧倒的に物分かりがよいので、あまり派手なケンカにはならないらしいのだが――一人っ子の遠子には、よくわからない。
それに直倫は怒りが持続しないタイプなので、遠子はあまり気にしていなかった。