イジワル御曹司の執着愛~愛されすぎて逃げられません!~
遠子は白臣の手を振り払うと、出て行った直倫を泣きながら追いかけていく。
「ナオちゃ~ん!」
直倫を怒らせるつもりなどなかった。
雪が降ったことに驚いて、それから嬉しくなっただけなのだ。
雪が降ったら直倫となにして遊ぼうかと、ただそれだけで、考えただけでドキドキが止まらなくなったのだ。
ピアノの練習をさぼった自分が悪いのだけれど、直倫に嫌われるのだけは絶対に嫌だった。
「いやぁぁ~!」
遠子も、大泣きしながら応接間を飛び出す。だが少しは知って気が付いた。廊下の端に直倫が立っている。
壁にもたれるようにして、お腹が痛い、みたいな顔をして、うつむいている。
「ナオちゃんっ!」
ああ、よかった。置いて行かれなかった。
遠子はぽたぽたと涙をこぼしながら、そのまま直倫に体当たりするように抱き着いた。
「えぐっ、うぐっ、ううっ……」
「――泣くなよ……」
「ピアノするから~! きらいにならないでぇ~!」
「トーコ……」
「れんじゅう゛ずる゛~ぅ!!」
「ごめん……てか、トーコのこと、きらいになるわけないじゃん……ボクは、ずっと……ずーっと……」
ナオちゃん。
お願いだから――
私のこと、きらいに、ならないで……。