僕に、恋してみたら?


目を見開いて、わたしを凝視するお姉ちゃん。

そんなに驚かなくてよくない?


「会ったんだね?」

お姉ちゃんの問いかけに、コクンと頭を縦に振る。

「変なこと、されなかった?」

「変なこと?」

「あの人、手が早いから」

「や……やだなぁ。わたしみたいな子供には、なにもしてこないよ」


ちょっと、じゃれられたけれど。子犬みたいに。

でもそんな、お姉ちゃんが心配するようなことは、なにもない。

むしろ、

『ムラムラしない』
『エッチな頼みはきかない』

と、おすみつきだ。

わたしだって、そんな関係になるのは想像もできないし望んでいない。


「もう会っちゃ駄目」

「……どうして?」


なにも答えないお姉ちゃん。


「会うくらい、いいよね。せっかく知り合いになれたのに、明日だって待ち合わせして……」

「待ち合わせ? どこに?」

< 56 / 288 >

この作品をシェア

pagetop