死にたがりは恋をする
 その目は、凄い威圧感を、殺気を放っていた。

 いままで、僕が見たことの無い、顔だった。まるで、目自体が、ギラギラと光っているような、獲物を刈る猛獣のような、とても強い目。

「お前に、カイトの何がわかる?俺でさえ、まだ知らねぇことが沢山あるのに、ろくに話てもないお前に、一体何がわかるんだよ!?」

「はぁ?俺がどう思おうが、俺の勝手だ!お前に指図されるような下の人間じゃねぇんだよぉ!!」

 アクトは、僕の思っている以上に、強かったんだ。僕が何も、知らないで、
決めつけてたんだ。

 そうだ、僕は、あの餓鬼大将と全く同じで、変わらないことを、アクトに向かってしてたんだ。自分は、本当に、ダメな奴だ。

 アクトは餓鬼大将の高い顔に向かって、唾を吐きかけた。

 だが、先生が、入ってきた。

「何をやってるんだ!」

 遅いよ、先生。アクトは、もう、喧嘩を売り付けてしまったんだ。あの餓鬼大将は、簡単に負ける脆い奴じゃない。

「アクトは、僕を守ってくれる為に__」

「んな訳ねぇーだろ!!なぁ、皆見てたもんなぁ!?」

 周りが硬直して、誰かが、言った。

 アクトが、守った、と。

「ちょっと職員室に来なさい」

 アクトと、僕と、餓鬼大将に、先生は言った。

そのとき、アクトが言った。
     ・・・・・・・・
「ゴメンな、守ってやれなくて」
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