死にたがりは恋をする
{廊下}
「チッ、なんで俺が」
餓鬼大将はそう呟くと、廊下に転がっていた誰かのか解らない消しゴムを思いっきり蹴飛ばした。消しゴムは、ちょうど隣にあった二年三組の教室の窓に向かって勢いよく飛んでいくと、窓の曇りガラスに無残にぶつかった。
僕は、廊下のちょうど開いていた窓から外を眺めた。
この町はあちこちフェンスに囲まれていて、孤立しているようだった。 校門もすっかり閉ざされており、まるで監禁されているようだ。
隣の町なんかもう工場の煙が出ているだけで、子供も、大人も、話し声さえも消えてしまった。今じゃ汚染が凄くて、皆ガスマスクを着けないと生きて生けないらしい。PCで何かを打ってるだけで、別にやることの無い、ただ単にデメリットしかないような、そんな町にはまるで興味も湧かなかった。
この町も、きっと二、三十年後には、すっかりそうなっているかもしれない。
僕が住んでいるこの町でも、汚染は各段に上がってしまっていた。それでも、この町を覆っているフェンスには少々除去能力があったため、いまだにガスマスクなしでも居られる環境を築けている。
馬鹿みたいにはしゃいでいるような、高校生活を送れる訳も無かった。それでも、いまだに僕は生きているだけで奇跡のようなものだった。
僕は、もっといい環境に生まれていれば、きっともっと楽しい、生き方が出来たんだろうか?僕は、悪くないのだろうか?神が、人間を創りだし、その人生のすべてを決めてしまうのが悪いのだろうか?一体、誰が悪くて、誰が悪くないというのだろうか?
無性に笑みがこぼれてきた、嗚呼、本当に『僕』の妄想は笑える。
僕がもっと、いい人に生まれていれば、きっと僕ももっと楽しい生活が出来たのに。
__そうだ。
__違う『僕』が、この死にたがり役に入ってくれれば良かったのにね。
「ほら、入れ」
そんな夢じみた妄想は、先生の声に掻き消さた。
「チッ、なんで俺が」
餓鬼大将はそう呟くと、廊下に転がっていた誰かのか解らない消しゴムを思いっきり蹴飛ばした。消しゴムは、ちょうど隣にあった二年三組の教室の窓に向かって勢いよく飛んでいくと、窓の曇りガラスに無残にぶつかった。
僕は、廊下のちょうど開いていた窓から外を眺めた。
この町はあちこちフェンスに囲まれていて、孤立しているようだった。 校門もすっかり閉ざされており、まるで監禁されているようだ。
隣の町なんかもう工場の煙が出ているだけで、子供も、大人も、話し声さえも消えてしまった。今じゃ汚染が凄くて、皆ガスマスクを着けないと生きて生けないらしい。PCで何かを打ってるだけで、別にやることの無い、ただ単にデメリットしかないような、そんな町にはまるで興味も湧かなかった。
この町も、きっと二、三十年後には、すっかりそうなっているかもしれない。
僕が住んでいるこの町でも、汚染は各段に上がってしまっていた。それでも、この町を覆っているフェンスには少々除去能力があったため、いまだにガスマスクなしでも居られる環境を築けている。
馬鹿みたいにはしゃいでいるような、高校生活を送れる訳も無かった。それでも、いまだに僕は生きているだけで奇跡のようなものだった。
僕は、もっといい環境に生まれていれば、きっともっと楽しい、生き方が出来たんだろうか?僕は、悪くないのだろうか?神が、人間を創りだし、その人生のすべてを決めてしまうのが悪いのだろうか?一体、誰が悪くて、誰が悪くないというのだろうか?
無性に笑みがこぼれてきた、嗚呼、本当に『僕』の妄想は笑える。
僕がもっと、いい人に生まれていれば、きっと僕ももっと楽しい生活が出来たのに。
__そうだ。
__違う『僕』が、この死にたがり役に入ってくれれば良かったのにね。
「ほら、入れ」
そんな夢じみた妄想は、先生の声に掻き消さた。