死にたがりは恋をする
 {大橋カイトサイド}

 帰路につくと、さっきの言葉が蘇ってきた。

『そんなの、 12年前から覚悟してたさ』

 12年前に、小野寺雨矢なんて友人は居ないはずだ。

 でも、一人消えた友人がいた。

 如月雨矢。一生の友人だった。彼も、よく殴られてしまっていて、同じ者同士だねって、笑っていた。

 ある日消えた理由は、親の再婚。違う県に行ってしまったらしかったが、まさか__

 思い出の雨矢と、現在の雨矢の声が重なった気がした。「俺はカイトが好きだぁぁ!!!!!」と。

 顔が真っ赤に成るのが解った。

 雨矢が、12年前からずっと僕を愛し続けていてくれたなんて__

 嬉しいような、ショックなような。

 そんなことを考えているうちに、もう家についてしまった。せっかくだから雨矢に泊めてといっておけばよかった。そうすれば僕も大丈夫だったし、雨矢も興奮できたというのに。

 __ねぇ、僕、いい予感がするよ。運命の出会いが近いよ。

 __雨矢は、運命の友人だもんね。昔の『僕』が言ってたもんね。

 __もう家だね。準備はできてるの?

 __うん、いつでもね。

「ただいま、母さん」

 暗い空間の中から、包丁を持った母親が表れた。

 その包丁は、僕を刺すためだけに、買ったって。

「おかえり、カイト」

 母親は不気味に笑った。
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